八色の森の美術展 出展者紹介

「あなたたちだけじゃないよ。わたしたちも宿んでいます。」(A)ターポリンにインクジェットプリント/120x180cm・2点、100x150cm・3点、120x120cm・1点、125x130cm・2点を池などに設置 2016
薄井崇友 usui takatomo

略歴

美術家、ルポルタージュ・フォト、愛犬家
1960年、福島県白河市生まれ
1986年、創形美術学校終了
1991年、G.Gibson Gallery(シアトル)と契約

2011年の福島原発事故から画像に線量値などをコンバインした作品をつくりはじめる。国内外で原発やニュークリア・レイシズムの地の日常を撮影取材し制作している。

現在、バセンジー犬の金太郎&梅とその仔一番を飼う。彼らを地球上に棲む人間以外の動物たちのシンボルとして観察している。

趣味にアロエ栽培。金曜官邸前反原発デモにできるかぎり参加・撮影記録中。

〈福島第一原発事故以後の取材など〉

2011年 原発輸出に調印直後のベトナム

2013年 グバーグ原発と喜望峰(南アフリカ共和国、ケープタウン)

2014年 再稼動を準備する川内原発・玄海原発

2015年 北米大陸延べ11万キロのドライブで2カ所の原発とネバダ核実験場からの低線量被爆地

2015年 知床半島から望む北方領土

2016年
6月 稼動を問う国民投票を控える世界最古の稼動原発ベツナウ(スイス、英国のEU離脱国民投票の当日を現地で迎える)
7月 再稼動直前の伊方原発

2017年
3月 玄海原発の再稼動が審議する佐賀県
4月 インターネットTV上杉隆の「ニューズ・オプエド」に出演し過去5年間の撮影取材の報告をする
雑誌「週刊金曜日」に定期的に寄稿

〈主な展示〉

1996年 ベーリングハム・ビエンナーレ(USA,Whatcom County Bellingham Museum)

1997年 New Jersey International Juried Show'97(USA,NEW JERSY CENTER FOR VISUAL ARTS)準大賞授賞

福島の新世代'98-A Message to the Next Century-(福島、福島県立美術館)

G.GIBSON Gallery(USA・シアトル/92,94,99)などで個展10回

Art Meeting田人の森に遊ぶ(福島、いわき市田人町)、かわさきでアート(神奈川、川崎市川崎大師仲見世通り)、8+9平和展及び被爆70周年を考える現代美術展(長崎、長崎市)などに継続参加。他多数

作家コメント

G_usui

撮影のときガイガーカウンターで放射線量を計る。放射線は「見えない・臭わない・音もない」。その数値を写真に重ねる。数字という抽象的な記号で放射線の可視化を試みている。

福島の原発事故で、気温や湿度と同じように放射線量を気にしなくてはいけなくなった。過ぎゆく月日はそれを慣らすが、影響ははじまったばかりだろう。セシウム137の半減期は30年。100年経ってもやっと1割。元にはもどらないのだ。あの事故で、放射能は私達の日常に入り込んでしまった。

世界には「風下の地・ニュークリア―レイシズム」の地が多数ある。原爆投下・核実験・原発はみんな「風下住民」をつくる。その地に行き日常を撮る。その地の住民は人間だけじゃない。ペット、家畜、野生の動植物だっている。彼らにだって生存権はあるし、それを守るのが人間の仕事じゃないのか。

原発事故で福島もまた風下の地〈Downwinders〉になってしまった。放射能は、見えないし臭いも音もないが、よ~く、耳を澄まし目を凝らし深く息をすると、変わってしまったことを感じるはずだ。しかし、人間は自身に言い聞かせ続けると、いつしか何も感じないようにセンサーを遮断することができる。人災の原発事故を地球の営みの大災害してしまうのだ。「否認の病」だ。そうして悪夢は繰り返すのか。

繰り返さないために、ただただ目の前の事実をちゃんと見て、生き方を、地球と人間のかかわり方を、自然な姿に戻せばいいだけなのだが……。