八色の森の美術展 出展者紹介

「夢幻の彼方へ」銅版画(技法:エッチング、アクアチント)410×600㎜ 2013年
西村沙由里 nishimura sayuri

略歴

1988 北海道札幌市生まれ
2011 東北芸術工科大学芸術学部美術科洋画コース卒業、佐藤国際文化育英財団21期奨学生
2013 東北芸術工科大学大学院修士課程洋画領域修了
現在、日本版画協会会員、 茨城県筑西市で制作活動

〈個展〉

ギャルリー志門(東京/11、12、14、17年)

鹿島神社参集殿(福島/12、16年)

〈グループ展〉

2012~毎年 ”ピュシス”萌芽する版画家たち-東北芸術工科大学-(東京、福島、新潟、山形)

2014 杭州第四届居室版画展 詩意家居

2015  
Contemporary Japanese Print makers (Davidson galleries/USA)
参SANザ・ヒロサワ・シティの作家たち展(茨城)

2016  中華民国第十七回国際版画ビエンナーレ など

〈賞歴〉

第80回日本版画協会展 山口源新人賞
CWAJ現代版画展60周年記念大賞 審査員特別賞 など

作家コメント

nishimura

私には非日常的なビジョンと体感覚がある。
それは人間としての身体が溶け崩れ変容する様。慣れ親しんだ日常から離別する翼を有し、怪物のように変わり果てるが人智は持ったまま。漆黒の中で何かを見つめる蛇の尻尾をもつ、異形たる龍(ドラゴン)である。
ただ、慈雨を降らし大地に恵みを与えたり魂を背に乗せて天へ昇る神聖な東洋的龍と、西洋の英雄に退治されるべき異端や邪悪を司る龍の、どちらなのか判然としない。

私は描く。龍に投影された今日を生きる私の魂、世界や自然を知覚するために。
闇から光を覗くように、銅板上に敷かれた暗色のグランドをニードルで彫り刻む。
硬質な感覚は身体を目覚めさせ、数か月にわたる格闘にひとり身を置く。

時間をかけ銅板上の表膜に蓄積された私の生きた痕跡は、硝酸や塩化第二鉄の腐蝕によって死にゆく。しかしそれと同時に、銅板そのものには龍が生まれいずる。命の根源たる水を介して私は龍の魂となる。まるで生まれ変わる様に。

龍の魂を帯びた銅板は沐浴を終え、インクを詰めてプレス機の圧力が加わる頃。
左右凹凸の逆転から龍の実体を証明するように紙に黒い影を落とす。

私は龍になる。 混沌としたダイナミズムの中で生きて死ぬ。理解のできない何かを感じながら。