小林 良一 KOBAYASHI Ryoichi
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投網
カンヴァスに油彩
218×270㎝ 2018年
 
「網を沈める」
四つ手網を川に沈める。数分待って、引き上げる。
子どもの頃に近くの川でよく遊んだ魚獲りの遊びだ。濁った水の中から網を引き上げる時、水面に網が見える瞬間に魚がかかっているかどうかが分かる。
何もかからずに空だったならば、また少し移動して網を沈める。魚が獲れても獲れていなくても何度もこの動作を繰り返す。
この網を沈めて引き上げるという行為が現在の制作の過程と重なり、その網を上げ下げするイメージが頭の中で繰り返される。最近の制作においては、その過程で網目のようなグリッドを画面に描き込むことがある。画面全体に網を被せてしまうかのように。そこからまた制作を始めて行くという節目となる。網=グリッド、水面=画面といった対応関係が成立していると思った。
そして水面に引き上げられた魚は、その時点での制作の契機が現れた瞬間に喩えてもいいだろう。水面と網がほぼ重なった時に現れる小さな銀色の跳ねる光。
対象を持たない制作は、時として進むべき方向が曖昧になってしまうこともある。しかし、こうしたイメージの重なりが行くべき方向を指示しているのではないかと感じることができるのだ。

 

略歴

1957 栃木県佐野市生まれ
1987 東京造形大学美術学科絵画専攻卒業
1997 五島記念文化賞美術新人賞、ニューヨークにて一年間の海外研修

 

主な展覧会

1987 個展 ギャラリィK(東京)→’88,’90,’92
1993 第1回軽井沢ドローイングビエンナーレ 脇田美術館(長野)
1994 個展 ヒノギャラリー(東京)→2017まで10回
1994 「さまざまな眼64」 かわさきIBM市民文化ギャラリー(神奈川)
1995 「VOCA’95 新しい平面の作家たち」上野の森美術館(東京)
1995 「視ることのアレゴリー 絵画・彫刻の現在」セゾン美術館(東京)
1995 “SHISEIDO GALLERY ANNUAL 95” 資生堂ギャラリー(東京)
1995 「絵画、唯一なるもの」東京国立近代美術館(東京)→’96 京都国立近代美術館(京都)
1998 個展 ギャラリーαM(東京)
2001 個展 ヨコハマポートサイドギャラリー(神奈川)
2003 「絵を描く人々の集い」ギャラリーかれん(神奈川)
2004 「ディスタンス・栃木県出身作家の現在」栃木県立美術館(栃木)
2005 「世界の呼吸法」川村記念美術館(千葉)
2010 五島記念文化財団設立20周年記念展「美の潮流」Bunkamuraザ・ミュージアム(東京)
2010 「SO+ZO」展 桑沢デザイン研究所(東京)
2012 「音・色・かたちのポリフォニー Vol.4」スタジオSK(東京)
2017 「表層の冒険‐抽象のアポカリプス」ギャラリー鴻(東京)
2017 「八色の森の美術展-未来に繋ぐ絵画考」池田記念美術館(新潟)
2018 「八色の森の美術展-ことの葉のかなたへ」池田記念美術館(新潟)