八色の森の美術展 出展者紹介

「茶褐色の疾走」 オイルパステル、アルキド樹脂絵具 18,5 × 18,5cm 2015年
岩本拓郎 iwamoto takuro

略歴

1951年、島根県津和野町に生まれる
1975年、東京藝術大学油画科卒業
1977年、同大学院版画専攻修了

1976年より個展を中心に抽象絵画の制作発表を行い、70年代のミクストメディアによる〈正方形画シリーズ〉、90年代の和紙に自動車用塗料による〈SQUAREストロークシリーズ〉で高い評価を得る。

1992年、東京国立近代美術館の〈形象のはざまに〉招待出品、同館に2点収蔵される。

1993年、宮崎県の都城市立美術館に於いて横6mの大作収蔵を記念し大規模な個展が開催される。

1995年、長野県の駒ヶ根高原美術館に於いて全館企画展示スペースを使い、1975年から1995年までの20年間の作品による回顧展が開催され、同館に10数点収蔵される。

2000年代に入り、新たに油絵具及びアクリル絵具による〈アブストラクトペインティングシリーズ〉を、 2010年には水彩による新シリーズ〈生成-生まれる光〉を、2014年にはオイルパステル及びアルキド樹脂絵具による〈抽象的ミニアチュールシリーズ〉をそれぞれスタートさせ今に至る。

現在は、これら全ての仕事を統合し止揚した新しいタブローの制作に向けて日々研鑽を続けている。

ギャラリーでの主な個展としては、
1976年 村松画廊
1978年 かねこ・あーとアートギャラリー
1988年 秋山画廊
2002年 かねこ・あーとギャラリー
2012年 ギャラリー砂翁
2015年 京橋画廊等があり、

上記美術館以外のパブリックコレクションとしては、
栃木県立美術館、山口県立美術館、島根県立石見美術館、府中市美術館等がある。

作家コメント

iwamoto

私は何を描いているのだろうか? 私は何を描こうとしているのだろうか? 私の描いたものはいったい何なのだろうか? この自問の前で、私はいつも途方に暮れてしまう。私には表現するもの、表現すべきものが既にあり、それをキャンバス上に現していくといった、あるいは確固としたイメージがあり、その表出に向かってひたすら描画行為を積み重ねていくといった、そういう回路がそもそも無いようなのだ。では私の描いたこの絵はいったい何なのだろうか? 私はこう考える。それは「私とは何か、世界とは何か、今生きているとはどういうことなのか?」といった、根源的にして素朴、普遍的にして究極の問いかけのプロセスそのものであり、描くことによるその痕跡であり、結実なのだと。だからそれは混沌の複雑さ、彷徨の不安と豊かさと、発見の喜びや輝き、覚醒のシンプルさやストレートさとを同時に合わせ持ったものとして現れ生まれてくるだろう。そして又それは、闇の暗さと光の明るさ、存在の重さと空の軽み、閉ざされた世界と開かれた世界、あるいは不動のものと動いていくもの、死んだもの、死にゆくものと生まれ生成していくもの……そういった諸々の対立するものの共存の姿として、シンボリックに、鮮烈に、そして艶やかに立ち上がって欲しいと常に願っている。絵画にはそのような表象の可能性、表出の力があるのだ。