八色の森の美術展 出展者紹介

Papua New Guinea Sing-sing Series #4 写真(顔料プリント) 21x29cm 1998年撮影、2014年補正加工
吉田恭 yoshida kyo

略歴

1956年 和歌山県生れ
1980年 多摩美術大学絵画科卒

2014年 星めぐり写真展—かわべ天文台(和歌山県)

2016年 文化じかけのオレンジ写真展—夢空間ふわり(和歌山県)

作家コメント

yoshida

自然界(造物主)が創り上げる色、フォルム、パターンは絶対的な美しさがあり尚且つ高潔さを感じる。それなのに人はなぜそれをまた自分のものにしようと悪戦苦闘するのか? 人にはそういう性が大昔から芽生えていたようだ。

私たちの直接のご先祖さんであるホモサピエンスは、10万年〜5万年前に、世界各地でぽつぽつと創造的思考を持ち始め、芸術的な能力や表現が生まれたと言われている。装身具や洞窟壁画などがその始まりである。そういうものに興味が尽きず、人間が自然界から獲得しようとする色やフォルムなどが生まれる根源的なものについて今も考え続けている。

20世紀末から政府開発援助の仕事をする傍ら太平洋、中近東、アフリカの国々で約20年近く海外駐在員をしてきた。その時、縁あって南半球に位置するニューギニア島に通算で6年間住んでいた。そこで見た自然界が作り出す物の色やフォルム、パターンは圧倒的な美しさがある。それはまさに抽象芸術と呼ぶに相応しく、西洋美術がその域に入るはるか前からニューギニアの人々はそれらを自己表現のマテリアルとして自然と共振しながら無意識のうちに取り入れ抽象的な表現を達成してきた。現代における抽象絵画は、目に見えるものから見えないものの具現化へと広がりを見せているが、その本質はすべてここから始まっていると言っても過言でないと思う。

本展覧会で展示する作品は、ニューギニア高地人のボディーデコレーションの記録写真、セピック川流域の“精霊の家”と呼ばれるアニミズム信仰天井画のフォトコラージュ、それから蝶の羽のコラージュである。

抽象という難解な考えも、実は案外わかり易いところに解答があることを感じていただければ幸いである。